- 事件番号
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平成27(行ウ)158等
- 事件名
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シリア難民不認定処分無効確認等請求事件
- 裁判年月日
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平成30年3月20日
- 裁判所名
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東京地方裁判所
- 分野
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行政
- 判示事項
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1 シリア・アラブ共和国の国籍を有する外国人で,いわゆる「アラブの春」以降に反政府デモに参加したクルド人が,出入国管理及び難民認定法2条3号の2にいう「難民」に当たらないとされた事例
2 シリア・アラブ共和国の国籍を有する外国人で,政府軍と反政府武装勢力の衝突が多い南部ダルアー県に居住していた者が,出入国管理及び難民認定法2条3号の2にいう「難民」に当たらないとされた事例
- 裁判要旨
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1 シリア・アラブ共和国の国籍を有する外国人で,いわゆる「アラブの春」以降に反政府デモに参加したクルド人は,①シリア政府が平和的な反政府デモに参加したクルド人をそのような理由のみで迫害したとか迫害しようとしていると認めるに足りないこと,②同人が参加したデモが数百人から1000人程度の規模であり,行われた地域も反政府活動の要所であると認めるに足りないこと,③血縁集団の部族長の家系に属する同人の参加によりデモの参加者がどの程度増加したかを認めるに足りる的確な証拠がないことなど判示の事情の下においては,出入国管理及び難民認定法2条3号の2にいう「難民」に当たらない。
2 シリア・アラブ共和国の国籍を有する外国人で,政府軍と反政府武装勢力の衝突が多い南部ダルアー県に居住していた者は,①シリア政府がダルアー県の出身者ないし居住者一般を迫害したとか迫害しようとしていると認めるに足りないこと,②同人が予備役の招集を受けたことを認めるに足りる客観的な証拠がなく,同人も難民認定手続において予備役の召集を受けたとは供述していないこと,③同人が反政府デモに参加したとか,そのことを理由に身柄を拘束されたことがあるとは認められないことなど判示の事情の下においては,出入国管理及び難民認定法2条3号の2にいう「難民」に当たらない。
(参考法令)
出入国管理及び難民認定法2条,61条の2
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